くらし情報『京大CiRA、iPS細胞から心臓組織シートを作製 - ラットで心機能改善を確認』

2014年10月23日 18:19

京大CiRA、iPS細胞から心臓組織シートを作製 - ラットで心機能改善を確認

また、心臓への細胞移植治療の問題点は、心臓に注入移植された細胞が十分に生存して長期的に心筋内に留まる(生着)効率が低いことにある。山下教授らのグループは、より細胞の生存・生着を高めるような移植方法として東京女子医科大学の温度感受性培養皿を用いた細胞シート技術をヒトiPS細胞から分化誘導した心臓構成細胞に用いることにより、心臓組織を模した「心臓組織シート」を作製し、それを心疾患動物モデルに移植することで治療効果および細胞生着効果を検証した。

その結果、このヒトiPS細胞由来心臓組織シートを3層重ねたものを、ラット心筋梗塞モデルに移植したところ、移植後2カ月の経過観察期間において、心筋梗塞により一旦障害された心機能の回復が認められたという。また、組織学的検査では、移植4週後で、9例中4例において移植細胞の生着を認め、最大で心筋梗塞領域の44%を移植細胞が生着・補充していた(平均24.7%)。さらに生着した移植細胞領域内に、宿主ラットの心臓から伸長した血管網が形成されており、この血流供給により移植後4週にわたる長期生着が実現できたという。

同研究チームはヒトiPS細胞由来心臓組織シートについて「重症心筋症により障害された心不全に対する治療方法の一つとして、心臓再生医療の可能性につながる有用な成果と考えられる」とコメント。今後は、シートの多層化など、組織構造を改良し、シートの機能を高めることが期待される。

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