9月以降のブラジル・レアルは、金融市場が大統領選挙での政権交代を期待していたことから、現職ルセフ大統領の再選観測の高まりとともに下落基調となり、10月26日の決選投票でルセフ大統領が再選されると、大幅に下落しました。その後、ブラジル中央銀行が7カ月ぶりに予想外の利上げを決定したことから反発しましたが、足元では軟調な展開が続いています。ただし、対円では10月末の日銀の追加金融緩和により為替市場で円安が進んだことから下値は限定的となっています。
ブラジルではルセフ政権に対して、財政悪化やインフレ率の上昇を招いたこと、石油などの産業へ介入したことなどが批判されています。特に、マンテガ財務相は、介入主義的な政策と過度に楽観的な経済・財政展望により、高成長が続いていたブラジル経済を悪化させたことから、同財務相の信頼性が損なわれていました。今回の大統領選で、ルセフ大統領は、介入主義的で浪費が多いと批判される経済政策から脱却するなどの考えを示し、市場寄りの野党候補にわずかな差で勝利しました。大統領は、今月15・16日のG20首脳会議の後に、退任の意向を示したマンテガ財務相の後任を指名すると示唆していることから、今後の人事が注目され、市場寄りの経済政策を進める後任者になる場合は、通貨にもポジティブな影響があると考えられます。