足元では軟調ながら、引き続き注目されるメキシコ・ペソ
2014年半ば以降、原油をはじめとする主要商品の価格が下落傾向となっていることを背景に、投資家がリスク回避の動きを見せ、資源国や新興国の通貨が売られる中、メキシコの通貨ペソも対米ドルで軟調に推移し、先週には一時、2009年3月以来の安値をつけました。
メキシコは世界第10位の産油国(日量287.5万バレル、2013年)であり、石油関連収入が連邦政府の歳入の約3割を占めます。ただし、政府は今年、2.28億バレル相当の原油を1バレル=76.40米ドルで売る権利(プット・オプション)を確保しており、原油価格の下落に伴なう歳入への影響を抑制できるとしています。また、産油国ではあるものの、同国の場合、石油の純輸出額はGDP比2%強にとどまり、価格が大きく下振れしても、同じくGDP比2%強の経常赤字への影響は限定的と考えられます。なお、産業構成比で鉱業は7%強に過ぎず、原油市況の下落は、非鉱業部門に燃料価格の低下などの恩恵をもたらし、景気に寄与すると考えられます。さらに、同国の輸出は、国別では米国向けが79%弱、品目別では工業製品・部品が83%弱と、結びつきの強い米国の景気拡大からの恩恵が見込まれます。