2015年1月14日 10:33
東大など、次世代磁気メモリ材料開発につながる電気分極成分を発見
東京大学は1月9日、ビスマスフェライトにおいて磁場で制御できる新たな電気分極成分を発見し、この成分が室温で示す不揮発性メモリ効果を観測したと発表した。
同成果は、同大 物性研究所の徳永将史准教授らによるもの。産業技術総合研究所(産総研)、福岡大学、上智大学、青山学院大学と共同で行われた。詳細は、「Nature Communications」に掲載された。
コンピュータメモリの高密度化は、これまでメモリをより狭い領域に作り込む微細加工技術の進展に支えられてきたが、その延長による高密度化はほぼ限界を迎えている。そこで、原子レベルでメモリとして機能する物質を開発することへの期待が高まっている。その有力な候補物質として磁性体であり強誘電体でもあるビスマスフェライトという物質が注目されてきた。
今回、研究グループは、瞬間的に大きな磁場を発生できるパルスマグネットを用いた精密な実験の結果、ビスマスフェライトでこれまで知られていなかった新たな方向の電気分極を発見し、その電気分極が磁場によって制御できることを示した。
この電気分極は一度磁場を加えると元と異なる状態に変化し、磁場を除いた後でも変化後の状態を保持し続ける。