定期昇給に対し、ベアは企業にとって固定費の増加となるものの、個人所得を持続的に底上げするため、ボーナスの増額などよりも経済効果が大きいとされており、中長期的な消費拡大や景気回復につながることが期待できます。
ベアが取り入れられたのは高度経済成長期の日本で、定期昇給だけでは賃金の伸びが物価上昇に追いつかず、実質的な賃金低下となってしまうことを避けるという目的がありました。
1990年代以降、日本経済が低迷しデフレに転じると、ベアによる賃金の引き上げ率は低下傾向となり、2000年代以降は実施しない企業が多くなりました。しかし、2014年は物価の上昇や企業業績の改善などを背景に、大企業を中心にベアを実施する動きが拡がり、賃金上昇率が比較的高い水準となりました。
市場では、今年もこうした動きが拡がることで、日本の景気回復に寄与することが期待されています。
ステップアップ
企業ごとに決められている基本的な賃金体系は、一般に「賃金表」と呼ばれ、この表に従って定期昇給が行なわれます。一方で、ベースアップは賃金表自体の見直しと言えます。
○春闘
春闘(春季生活闘争)とは、労働組合が賃上げや労働環境の改善などを企業側と交渉する「労使交渉」