就活や仕事、人生に立ちすくむ全ての人に効く"劇薬"エッセイ
その過程が、2525のエピソードを通して、他者との関係を軸に、美しく軽やかな文体で語られる。スペイン巡礼の旅、母との和解、生きるための軸の発見。彼女はひとつひとつの物事に体当たりで答えらしきものを見つけていく。
どのような答えを見つけたかは、是非本書を読んでほしい。奮闘する姿が目に浮かぶほどリアルに描かれるからこそ、再生の過程は読みごたえがある。そしてこの本の良いところは、たとえ奮闘の末に見つけだした答えだとしても、それを読者に押し付けないところだ。彼女の言葉は優しく包むように心に響き、読み終えた後は、「自分はどうだろう?」と考え始める読者も多いのではないか。
この本は、これから迎える就活に足がすくむ人、進路や仕事に悩む人、そして"理想の自分と現実の自分のギャップに苦しむ人"に刺さると思う。
今が苦しい人、背中をそっと押されたい人、一度読んでみませんか。
『傷口から人生。~メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった』著者プロフィール
小野美由紀(おの・みゆき) ライター・コラムニスト
1985年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部仏文学科卒業。学生時代、世界一周に旅立ち22カ国を巡る。