くらし情報『恋愛以前の男子たちへ (13) 満員電車のスポーツ新聞』

恋愛以前の男子たちへ (13) 満員電車のスポーツ新聞

あの満員電車の中で、過激でHな記事を読む、それも読み切る根性には感服するが、それも自分に勝ったことになるのだろうか? そのHな記事のページを1枚めくれば、教師とか警官とか、あるいは社会的地位の高い人の破廉恥罪……痴漢とか婦女暴行とか下着泥棒とか……が、眉間に皺を寄せた論調で記事になっていたりする。果たしてこれは悲劇なのか喜劇なのか? 冗談なのかマジなのか?

世の中に、これほどの矛盾はない。欺瞞といい換えてもいいかもしれない。この場合、自分に勝つとはどういうことだろう。素直にHな記事に反応すべきなのか。それともそうした邪心を抑えて、平然と読み流すべきなのだろうか。いやいや、そもそもそうした記事を満員電車で読むべきなのだろうか? 恥を押し殺して読むことが自分に勝つことなのか、それとも欲望を理性で抑えて読みたいのに読まないやせ我慢こそが、自分への勝利なのだろうか?

朝の通勤ラッシュという、どこにでもある日常の風景にだって、このような葛藤がある。そしてその葛藤とは、小学生の頃から「自分に負けるな」と洗脳され続けてきた強迫観念にこそ、その悩みの根源があるのではないだろうか。


歌の文句ではないが、勝った負けたと騒ぐじゃない。

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