LGが打ち出した「有機ELシフト」の本質 - 西田宗千佳の家電ニュース「四景八景」
かつてのライバルであったプラズマディスプレイが負けたのは、その総合力ゆえだ。
有機ELは理想的な存在ではあるが、製造が大変だ。製造工場の立ち上げには相応のコストがかかり、すでにコストメリットが発揮されている液晶と戦うのは非常に困難である。テレビがどんどん売れ、技術開発や製造に湯水のように費用をかけられる時代なら話は別だが、いまやテレビは成長産業ではない。
だからこそ、LGは当初からある種の割り切りを見せた。画素構造を複雑にしなければ、製造はシンプルになる。発色の面では他社が開発中のパネルに劣るが、有機ELと液晶の間で起きる「スタートの不利さ」をカバーしやすくなる。
という話になると、「じゃあ、LGの有機ELテレビの画質はたいしたことがないのか」という印象を持つだろう。
だが、それはちょっと違う。
●先行逃げ切りを狙うLG、日本メーカーは対抗できるか
有機ELという自発光技術を使う以上、コントラストの高さは、やはり液晶の比ではない。LGの有機ELテレビではフィルターを使うため、色の純度は落ちるが、そもそもコントラスト性能が高いため、液晶に比べ不利、というレベルでもない。液晶テレビで培われた色補正技術を組み合わせれば、少なくとも液晶に比べ不利な点は出てこない。