LGが打ち出した「有機ELシフト」の本質 - 西田宗千佳の家電ニュース「四景八景」
まだ製品において、デモ映像以外の「普通の映画」「普通のテレビ番組」「普通のスポーツ」の画を見ていないため、筆者としての最終判断は保留としておくが、新しいデバイスらしい画質になってきている、と感じる。
ここにきてLGが他社に先駆けて日本で有機ELテレビ市場を作ろうとしているのは、日本が高画質製品にうるさい市場であり、そこでの支持をテコに広く展開したい……という思惑がある。同社は日本でテレビ市場に本格参入して5年が経過した。シェアは低く、大きなビジネスになっているとは言い難いが、画質などに関する研究所を日本に設置し、かなり地道な活動を続けている。普及型から高画質モデルへとシフトチェンジする背景には、日本のLGの組織変更や体制変更といった社内事情もあったようだが、「自分達が持つ技術を軸に攻めるべき」という分析があったのは間違いない。LGは、自社の白 + カラーフィルター型の有機ELディスプレイ・パネルについて、かなり積極的な投資を行ったとみられている。元々シンプルであることに加え、リスクを先行してとったことなどから、各画素発光式の他社パネルよりも、生産量が安定してきているのでは……との観測もある。