くらし情報『人に聞けない相続の話 (8) 「相続は放棄しますという妹」 - その時の兄の勘違い』

人に聞けない相続の話 (8) 「相続は放棄しますという妹」 - その時の兄の勘違い

と口約束していたとしても法律的な効力はありません(民法第938条)。

それでは、どうすれば妹に約束を必ず守らせることが出来るでしょうか?

お父さんの財産を確実にすべて兄のものにするためには、

お父さんに「すべての財産を兄に相続させる。」旨の遺言書の作成してもらう
妹に、「遺留分の放棄」をしてもらう

今からでも遅くないので、この2点を調えましょう。

○「遺留分の放棄」は、相続開始前でも裁判所の許可があればする事ができる

「相続の放棄は、被相続人の生前に行う事はできません」が、「遺留分の放棄は、相続開始前でも裁判所の許可があればする事ができます」(民法第1043条)。

「すべての財産を兄に相続させる。」というお父さんの遺言書だけでも、大丈夫な気がしますが、妹が遺留分の減殺請求をすると、遺留分(法定相続分の1/2)は、妹に渡さなければいけません。

従って、「遺言書」と「遺留分放棄」をセットで行う事が重要です。

お母さんの相続の際、この2つを同時進行しながら、遺産分割協議書にサインをしていれば、心配は少なくなったと思います。

ただし、お父さんが生前に、

財産を費消してしまう
妹に財産を贈与してしまう
生命保険に加入し受取人を妹に指定してしまう

等が行われると、実質的にもらえる財産が少なくなってしまう可能性もあるので、やはり、現実的にはお母さんの相続の際、法定相続分を主張しておいた方が良かったという事もあります。

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