産総研など、腫瘍の原因となるiPS細胞を効率的に除去する技術を開発
同成果は産総研創薬基盤研究部門の舘野浩章 主任研究員、平林淳 首席研究員、幹細胞工学研究グループの小沼泰子 主任研究員、伊藤弓弦 研究グループ長と、和光純薬工業試薬化成品事業部 開発第一本部 ライフサイエンス研究所の共同研究によるもので、4月9日(現地時間)の米科学誌「Stem Cell Reports」オンライン版に掲載された。
ヒトiPS/ES細胞はあらゆる細胞に分化能力を持つ。しかし、全てのヒトiPS/ES細胞を目的の細胞に分化させることは難しく、一定数の未分化な状態のものが残ってしまう場合があり、移植後に腫瘍を形成してしまう可能性がある。そのため、移植用細胞からそうした細胞を取り除く必要があるが、従来の方法では1つ1つの細胞に解離してから特殊な装置を用いるため、細胞シートへの適用ができない、処理速度が遅い、移植用細胞の生存に悪影響を与える可能性があるなどの課題があった。
今回の研究では、rBC2LCNというタンパク質がヒトiPS/ES細胞に結合した後に、細胞内に取り込まれるという現象を発見。そこで、細胞内に取り込まれるとタンパク質合成を阻害し細胞死を引き起こす毒素をrBC2LCNに融合させた組換えタンパク質を開発した。この組換えタンパク質を細胞培養液に添加すると、分化した体細胞の増殖や生存には影響を与えずに、未分化なヒトiPS/ES細胞を選択的に除去することができた。
この組換えタンパク質は細胞をあらかじめ分離するといった前処理も必要なく、細胞培養液に添加するだけで選択的にヒトiPS/ES細胞を除去できるため、大量の細胞や細胞シートなどへの適用も可能だという。同技術は1年以内の実用化が予定されており、再生医療に用いるヒトiPS細胞由来の心筋細胞などの細胞製造への適用性を検証することで、再生医療の安全性向上につながることが期待される。
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