ロシアの「プラグリェースM-27M」補給船は、なぜ制御不能に陥ったのか (1) 事故による国際宇宙ステーションへの影響は
もともとの予定では、プラグリェースM-27Mは打ち上げから約6時間後にISSに到着する予定だったが、この問題により2日後へと延期された。
ところが実際は、アンテナの問題がかすんで見えるほど、もっと悪い状況に陥っていた。まず地上とプラグリェースM-27Mとの通信が断片的にしか取れず、船の状態がどうなっているか十分に把握できない状態にあった。やがて、その断片的な情報から、エンジンなどのシステムが壊れていること、そして、通常ではありえない向きと速度で回転をしていることが判明した。回転を止めるべく指令が送られたが反応はなく、その後通信も完全に途絶えた。プラグリェースM-27Mは完全に制御不能の状態に陥り、ISSとのドッキングは断念された。
その後も機能回復に向けた努力が続けられているが、補給船は依然として沈黙を続けている。現在プラグリェースM-27Mは、大気との抵抗で徐々に高度を下げており、このままいくと、5月8日前後に地球の大気圏に再突入すると予測されている。
○ISSへの衝突や地上への落下の可能性は
プラグリェースM-27Mは制御不能の状態にあるとはいっても、暴走しているわけではなく、また軌道の高度が低いこともあって数日で地球の大気圏に落ちるため、ISSや、他の衛星に衝突するといった危険性はない。