UIデザイナー的視点で考える Apple Watchアプリ開発のヒント (1) Apple Watchが生み出す新たな体験
一方でApple Watchは、何らかの操作をすることにはあまり向いていません。デジタルクラウンのおかげで、かなり操作しやすくなってはいますが、それでも腕を持ち上げたまま長時間その体勢を保たなければならないのは、お世辞にも使いやすいとはいえませんし、そこまでするならばiPhoneを取り出したほうが快適でしょう。音声入力なども可能ですが、やはりすべての要求を満たすものにはなりえません。
Apple Watchで何ができるのかがわからない、というのはこのように“発信”が苦手であることに起因していると筆者は考えています。すでにある情報を腕で見るだけの“受信”は、ある程度満足が得られているものを補完をする「あると便利」な機能として受け取ってしまいます。ユーザーの「◯◯をしたい」という欲求をかなえるためのものではなく、受け身の機能であるからです。そのため、実際に体験をしてみないと、その満足度がわかりにくいものになってしまうのです。
一方、“発信”を進んでできるデバイスは、「これがしたい」というユーザーの欲求に応えることができるので、使い手としては、能動的なアクションを起こす必要があり、体験としても記憶に残りやすいものになります。