日本がリチウム資源超大国になれる!? - JAEA、海水からの回収技術を開発
今回の研究では、「NASICON型結晶構造セラミックス」のイオン伝導体が、リチウム分離膜として使用された。このイオン伝導体は、発火性が低く、充電量の大きい次世代リチウムイオン電池の電解質材料としても期待されている特徴を持つ。
また最先端・次世代研究開発支援プログラムでは、実験室規模の限界を目指した装置のスケールアップが試みられた(画像3)。実際の海水を用いて3日間のリチウム回収試験が行われたところ、海水に含まれるリチウムを最大で約7%回収することに成功したという。さらに波及効果の1つとして、海水の代わりに豆腐作りで必須な日本独特の「にがり」(リチウム濃度は海水の約50~100倍)を用い、同様の試験条件でにがりからのリチウム回収も行った結果、海水と同等の回収性能が得られたとした。
ちなみに、リチウムイオン電池の原料としては、主に炭酸リチウム「Li2CO3」が用いられている。しかし、今回のリチウム回収液は、希塩酸中に塩化リチウム(LiCl)が溶けた状態で存在するため、原料となるLi2CO3粉末を得るための検討が行われた。まず、リチウム回収液と安価な炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液を混合し、目的とするLi2CO3の沈殿物を得、次に沈殿物をろ過で回収して乾燥することで、Li2CO3の粉末精製に成功したのである(画像4)。