日本がリチウム資源超大国になれる!? - JAEA、海水からの回収技術を開発
日本は南米諸国からの100%の輸入に頼っている状況だ。すぐに枯渇する量ではないが、2013年4月のアメリカ化学会での報告では、膨大な敷地で1年以上かけてリチウムを含む塩湖の水を自然蒸発させて資源回収しているため、今後のリチウム需要の急増に対応できず、資源不足に陥る懸念が報告されているのはご存じの方も多いことだろう。
そこで、リチウムが海水中に多量に含まれていることに着目し、研究が進められて、今回結実したのが海水からのリチウム回収技術だ。海水には約2300億トンという膨大なリチウム資源が存在すると推定されているため、資源の乏しい日本においては海水からリチウムを回収する技術を実現できれば、リチウム資源大国になることも可能なのである。
今回開発された技術では、海水とリチウムを含まない回収溶液間をイオン伝導体の分離膜で隔離し、海水と回収溶液間にリチウム濃度差を生じさせることにより、海水中のリチウムが回収溶液へ選択的に移動する分離原理を発案し、さらにリチウムの移動と同時に発生する電子を電極により捕獲することで、電気を発生しながらリチウムを回収できるという新しい技術だ(画像1・2)。なおイオン伝導体とは、主にセラミックスや高分子シートなどの、イオンを伝導させる性質を有する材料のことをいう。