筑波大など、有機薄膜太陽電池用材料を安価で高純度精製できる合成法を開発
一方で、材料の純度向上も重要な課題となっている。材料に含まれる不純物が変換効率を低下させ、さらに、素子の劣化を引き起こすためである。高い純度の化合物を得るためには、合成の後に入念な精製操作が必要となる。将来的に有機薄膜太陽電池が広く実用化されるためには、材料を低コストで大量生産する必要があり、簡単な精製操作で高い純度の材料を製造することが求められる。
その手段の1つとして、合成方法を抜本的に見直すことで反応によって生じる不純物の量を低減することが考えられる。分離すべき不純物が少なければ、精製操作が簡単になり、生産プロセスを低コスト化できる。有機薄膜太陽電池の材料であるπ共役系高分子は、これまで主にクロスカップリング反応を用いて合成されてきた。この手法は適応範囲が広く様々な高分子の合成が可能であるため、有機薄膜太陽電池の発展に欠かせない技術である。
その一方で、スズやホウ素、リンなどを含む不純物が副生されるため、反応後にそれらを除去する必要がある。
これに対し、研究グループは、π共役系高分子の合成において、クロスカップリング反応の代替として新しいカップリング反応を用いる手法を開発し、高純度の高分子を簡便に合成することに成功した。