2015年8月17日 10:00
ISC 2015 - HPLを補うベンチマーク「HPCG」(前編)
TOP500のスパコンランキングは、「HPL(High Performance LINPACK)」というプログラムを実行する性能が使われている。HPLは「a11*x1+a12*x2+…a1N*xN=b1、a21*x1+a22*x2+…a2N*xN=b2、…aN1*x1+aN2*x2+…aNN*xN=bN」というN本の連立一次方程式を解くプログラムである。ここでaとbは値が決まっていて、これらの式を満たすxの値を求める。
連立一次方程式を解くという問題は、科学技術計算ではよく出てくるので、20年あまり前にTOP500が始まった時以来、この問題が性能ランキングに使われている。
○現実には疎行列となる問題が多い
例えば気象計算では、空間を3次元の格子状に区切り、1つの格子点の状態は隣接する周囲の格子点の温度や湿度などに影響されて変化するという形にモデル化する。つまり、格子点cijの次の時点の値は、cij自身とc(i-1)jk、c(i+1)jk、ci(j-1)k、ci(j+1)k、cij(k-1)、cij(k+1)の格子点の状態に依存する。しかし、それ以外の格子点の状態は直接的には影響しない。