2015年9月30日 14:46
BOOK REVIEW - AMD出身者も絶賛!「インテル 世界で最も重要な会社の産業史」
私の場合には、"やはりそうだったのか…"という感想が大きいが、インテル内部で起こっていたことなど、外部者には想像できないストーリーも満載で、いまさらながら、シリコンフィーバー(熱病)のような時代に生きた人たちのなんとエネルギッシュな生き方かと、一般のビジネス読者にも共通の興味、共感を持って読めるであろう。成長産業での先端企業を引っ張るリーダーたちの孤独、プレッシャーを痛々しいほど感じる。
ただし、30年前からシリコンバレーに関わってきた人に共通する半導体(ハードウェア)信奉がベースにあるのは明らかで、その後に産業のリーダーシップを業界レベルで奪い取った、マイクロソフト、グーグルと言ったソフトウェア業界の主役たちに対する共感は全く存在しない。インテルを敢えて"世界で最も重要な会社"と位置付ける筆者のこだわりが強く感じられる。筆者の信奉する"Moore’s Law :ムーアの法則"の継続発展が疑問視される昨今、これからのインテル、ひいては半導体産業はどうなってしまうのだろうという将来に対する思いを馳せる人たちにとっては、歴史を認識するのも面白いかと。日本語訳が秀逸。
○インテル 世界で最も重要な会社の産業史
出版社:文藝春秋
発売:2015/9/12
著者:マイケル・マローン
訳者:土方奈美
ISBN:978-4-16-390331-6
価格(税別)