2015年10月20日 15:53
中央大、イヌ用人工血液を開発 - 動物医療の輸血確保問題に光
中央大学は10月19日、イヌ用人工血液の開発に成功したと発表した。
同成果は同大学理工学部の小松晃之 教授の研究グループによるもので、第22回日本血液代替物学会年次大会で発表される予定。
日本では動物用血液バンクが認められておらず、動物用血液の備蓄システムが存在しない。輸血が必要な重症動物を治療する際は、獣医自身が自分で輸血液を入手しなければならずドナーの確保が課題となっている。そのため長期保存が可能で、血液型やウイルス感染のリスクがなく、必要時にいつでもどこでも使用できる動物用人工血液の開発が望まれていた。
これまで小松教授らは、ヒト用人工血液の開発において、血液の重要な役割である酸素輸送機能を代替できる赤血球代替物として、ヘモグロビンにヒト血清アルブミンを結合させたコアーシェル型のクラスターを合成し、それがヒト用人工酸素運搬体として機能することを明らかにしている。このクラスターをイヌ用人工酸素運搬体として応用する場合、異種アルブミンからなる製剤をイヌに投与すると抗体が産生され、再投与の際に重篤な副作用を起こす危険性があることから、ヒト血清アルブミンをイヌ血清アルブミンに置き換えなければならない。