別々のパックの送電キット「P9038-R-EVK」(図6左)と受電キット「P9025AC-R-EVK」(図6右)で構成されている。送電アンテナと受電アンテナの距離が7mm程度であれば、75~80%の変換効率を得られるという。この開発キットを用いると、電子回路の専門家でなくても自社の機器にワイヤレス給電システムを簡単に組み込めるようになっている。
McGarry氏は、開発キットの具体的な活用例として、ワイヤレス給電機能を組み込んだヘッドホンの事例を紹介した(図7)。あるヘッドホン・ベンダは、IDTに注文した開発キットが宅配便で午後5時に届いた後、作業を始め、午後8時5分にはワイヤレス給電機能を組み込んだヘッドホンを開発できたという。
McGarry氏は「開発キットを紹介するWebサイトには1週間当たり2000人のアクセスがあり、すでに2000超のキットを出荷した。出荷先は、ほとんど名前を聞いたことの無いような中小企業ばかりで、この開発キット提供でワイヤレス給電ユーザーのすそ野の広がりを実感できた」という。
IDTはすでにQi規格に準拠したミディアムパワー(15W)対応IC製品を開発し、一部の大手顧客に限って出荷を開始しているが、これがうまく立ち上がれば、いずれは15W対応の開発キットも製品化し普及に努めたいとしている。