JAMSTEC、3Dレーザースキャナーで海底熱水域の可視化に成功
同成果は、JAMSTEC 海洋工学センター海洋技術開発部 石橋正二郎 主任技術研究員らの研究グループによるもので、12月2日に大崎ブライトコアホールで行われる「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)次世代海洋資源調査技術(海のジパング計画)第2回シンポジウム~これからの海洋資源調査はこう変わる!~」にて紹介される。
今回開発されたAUV搭載式3Dレーザースキャナーは、一次試作機で得られた知見を踏まえ、仕様・性能を大幅に向上させた技術検証機となる。寸法・重量を大きく削減しつつも、スキャニング解像度および検出感度は一次試作機の数倍にまで向上。また、AUVが出力する姿勢や速度などの各航行情報をリアルタイムにシステムに取り込むことにより、AUVの姿勢による僅かな位置情報の変化を正確に反映してスキャニングすることが可能となった。
JAMSTECは10月31日、同3DレーザースキャナーをAUV「おとひめ」に搭載し、伊豆大島南方約20kmの大室ダシにおいて海域試験を実施。おとひめは大室海穴付近まで深度制御にて自航していき、海穴内部に潜入すると、高度制御により海底から15mの距離を保持して目的の測線上を逸脱することなく航行した。
この結果、大室海穴内部の多くの特異点を海中レーザースキャニングにより3D可視化することに成功。
特にごく小規模のチムニーやマウンドなどが、従来の音響観測技術では表現できない精度で可視化され、また熱水噴出域では、通常のカメラ観測技術では撮影が困難な熱水噴出状態までもが複数、鮮明に可視化された。
さらに、これらすべての3D可視化画像からは長さ・面積・体積など、任意の幾何学情報を取得することが可能であり、チムニーの全高や頂部面積、熱水噴出の噴出高に至るまで、数cm単位での正確な計測に成功。1測線で全長600m、幅50mにおよぶ広範囲の海底地形が可視化され、AUVを適用する中距離からの新たな観測技術の実用性が示されたといえる。
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