巨人Intelに挑め! - 自作PCユーザーを歓喜させたK6シリーズ (11) 悲劇のCPU K6-III
時はパソコンの全盛時代、前述のようにパソコンの価値はほとんどCPUの周波数で決められており、233Mhzより266MHz、266MHzより300MHzという具合に、季節ごとに訪れるパソコンのモデルチェンジに合わせるようにCPUのクロックスピードを上げていったのである。
しかし、K6のアーキテクチャは400MHzを超えたあたりで、次第に限界に近付いていた。K6-2のクロックスピードの変遷を追ってゆくと、特に450を超えるあたりから小刻みになっていったのにお気づきだろう。450、475、500、533、550MHzという具合である。
当初は、K6-2はこれほど周波数を上げる予定ではなかったが、パソコン市場の要求と、旺盛なK6-2への需要に応えるためにAMDはK6-2の周波数をどんどんと上げていった。ロードマップ通りに行っていれば、400MHzくらいからK6-3が後継としてそれにとって替わるはずであった。K6-3は基本的にはK6-2のCPUコアを流用してデザインされたが、K6-2との大きな違いは次の通りCPUと同じシリコンダイに集積するキャッシュメモリのサイズである。
K6-2
一次キャッシュ:32+32KB
二次キャッシュ:なし
製造プロセス:0.25um
搭載トランジスタ総数:930万個
K6-3
一次キャッシュ:32+32KB
二次キャッシュ:256KB
製造プロセス:0.25um
搭載トランジスタ総数:2130万個
CPUの総合性能を加速するために同じダイに集積するキャッシュメモリを大きくすることは大変に有効な手段である。