巨人Intelに挑め! - 自作PCユーザーを歓喜させたK6シリーズ (11) 悲劇のCPU K6-III
そのため、K6-2の500MHzでもK6-IIIの400MHzに実性能ではかなわないような奇妙な状況が現出した。
K6-IIIの登場に自作ユーザーは驚喜した。パソコンの競争がクロック周波数に支配されていた現象に食傷気味であった自作ユーザーは、CPUの総合性能は周波数だけではなく、他の要因にも大きく起因することを知っていて、AMDがその最適の解決を提示したからだ。秋葉原などで活動を展開した私としても大いに興奮を覚えた製品であったが、ある日、本社のマーケティングのVPからK6-IIIは450MHzでストップだという決定を知らされて非常にがっかりした。理由は次の通りであった。
巨大な二次キャッシュを集積することによって歩留まりが非常に悪い。
シリコンダイのサイズが二倍になってしまい、経済性が悪い。
K6-2はそのまま周波数が550MHzまで上げられるので、大量に売れるパソコン用のCPUとしてはK6-2の高周波数製品で経済的優位性を維持したい。
500MHz以降はIntelにはK7で対抗する。
会社としては当然の決定であろう。AMDはIntel互換路線を捨てて独自のインフラを築き上げる大掛かりな仕事に備えて経済的体力を温存していたともいえる。