くらし情報『NEDO、従来比で製造エネルギー半分で生産性10倍の炭素繊維製造法を開発』

2016年1月14日 19:27

NEDO、従来比で製造エネルギー半分で生産性10倍の炭素繊維製造法を開発

研究統括者である東京大学 大学院工学研究科の影山和郎 教授は、「現在、世界中で低コスト化に向けた研究が進められているが、その大半が低コスト化を実現するためには炭素繊維の性能を犠牲にする必要がある、という視点に立ったものであり、実際に欧米での研究は引張弾性率170GPa、引張強度3GPa未満といった値で、市販の炭素繊維の性能におよばないものであった。しかし、今回のプロジェクトでは、市販されている炭素繊維の下限程度の性能を目標に進められており、その第一歩が踏み出せた」とする。

具体的には、現行方式の最大の足かせとなっていた耐炎化工程そのものを不要にする新規前駆体「溶媒可溶性耐炎ポリマー」を開発。同ポリマーは衣料用に用いられている安価なPANが原料ながら、工業製品に匹敵する引張弾性率240GPa、伸度1.5%(強度3.5GPa)の炭素繊維を製造することに成功したとする。また、同ポリマーに溶解促進剤と酸化剤を添加することで、耐炎化反応が液中で起こるため、従来の加熱工程(安定化工程)を行わずに紡糸が可能となったとする。さらに、耐炎化工程後の炭素化工程も従来工程のような高温炉を用いるのではなく、大気圧下でマイクロ波による加熱を数分程度行うだけで終了するほか、同じく大気圧下でのプラズマを用いた表面処理により、従来の表面処理工程比で約50%のエネルギー削減の実現ならびに極短時間処理でのマトリックス樹脂との接着性向上を実現したとする。

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