2016年1月21日 15:18
細胞質のタンパク質合成を制限することで細胞老化を抑制できる - 横市大
次いで核膜とヘテロクロマチン複合体の崩壊が起こり、分裂能力の喪失や老化特異的遺伝子の発現が誘導される。
同研究グループは、ヒト正常およびがん細胞を用いた解析から、細胞質タンパク質合成の制限が細胞の種類に関係なく不均衡増殖を解消し、細胞老化を抑制することを見出した。この制限はヒト正常細胞の分裂寿命を顕著に延長しただけではなく、細胞老化により分裂を停止した細胞の増殖を再開させることができたという。
さらに、タンパク質合成の制限が個体の老化に及ぼす影響を、モデル生物である線虫C.elegansを用いて調べたところ、タンパク質合成の制限は、線虫の平均寿命および最大寿命を延長させ、個体レベルでの老化防止にも有効である可能性が示された。
今後の課題は、細胞質タンパク質合成の制限により、ヒトなどの高等動物の老化防止を実現できるかどうかであり、そのためには細胞質タンパク質合成をターゲットとした老化抑制剤の探索や開発を進める必要があると同研究グループは説明している。
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