くらし情報『大学デビューの落とし穴 (21) 2月:さまざまな先輩/後輩関係を知るためのブックガイド』

大学デビューの落とし穴 (21) 2月:さまざまな先輩/後輩関係を知るためのブックガイド

言わずと知れた少年小説の大傑作。ですが、大人になってから読むと、「とんでもない先輩に振り回される後輩の話」として読めます。潜水艦ノーチラス号のネモ艦長は、好奇心旺盛なアナンクロス教授を乗せ、世界の海をかけめぐります。が、ネモ艦長はなかなか行き先を教えてくれないし、潜水艦から逃げ出したらダメだというし、どこまでも強引。でも、アナンクロス教授が不満たらたらかというと、そうでもないんです。むしろ、これまで見たこともない光景を見せてくれた艦長に感謝している部分も。

面白いのは、教授がネモ艦長との冒険旅行について「人々がこの話しを信じてくれようが、くれまいが、わたしにとって、それは、さして問題ではない」と語っていること。この承認欲求の薄さ、すごすぎ。
ふつう、誰かに振り回されるとつい愚痴りたくなるし、貴重な経験をさせてくれたら、みんなに自慢したくなりそうなものですが、アナンクロス教授はあえて「自分とネモ艦長」の関係だけを見て、そこから得られるものだけを得ようとするのです。強引な先輩の言いなりかと思いきや、ひそかに経験値を上げている……アナンクロス教授、デキる男です。

○人生のモチベーションを引き上げてくれる先輩 林真理子『野心のすすめ』(講談社現代新書)

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