その一方で農業ICTがキーワードになったのは近年のことであり、本格普及はこれからといったところだろう。普及に向けた課題として、アグリノートのような圃場管理ツールは直接生産性に影響するものではないため、外からはそのメリットがなかなか感じ取りにくいことがありそうだ。また、グリーンギフトのような農業法人はともかく、家族経営の農家では、情報のやり取りはわざわざデータ化せずとも口頭で済んでしまうし、記録を取っておく必要も感じにくい。
既存の農家は、なまじこれまでのノウハウがあるだけに、未知のICTに投資して失敗するリスクを恐れてしまうこともありうる。だがデータ化すれば、それだけ分析もしやすくなるだけでなく、農業経験の浅い人にノウハウを伝える際に客観的な説得力が増す。きちんと管理するならICTを導入したほうがトータルで見てお得になるが、そこまで農家側のマインドセットが辿りついていないのが現状なのかもしれない。農家側の意識改革も、今後の農業ICTが成功するうえでの重要なポイントだろう。
アグリノートの販売に関わっているNTTドコモでは、この他にもべジタリアと連携し、田んぼの水位センサーなどの農業向けICT製品を展開している。