くらし情報『宇宙開発秘録 - 夢敗れたロケットや衛星たち (1) 宇宙から人の目でソ連を監視せよ - 軍事宇宙ステーション「MOL」(前編)』

宇宙開発秘録 - 夢敗れたロケットや衛星たち (1) 宇宙から人の目でソ連を監視せよ - 軍事宇宙ステーション「MOL」(前編)

1957年というと、米航空宇宙局(NASA)が最初の宇宙船「マーキュリー」を開発するよりも早く、さらに米国が初の人工衛星を打ち上げるよりも前のことだった。

X-20は1963年に開発中止となるが、そのころNASAでは、すでに有人月着を目指したアポロ計画がスタートしており、その中で必要となる、宇宙船同士のランデヴーやドッキング、長期間滞在、船外活動などの技術や経験を得ることを目的とした新しい宇宙船「ジェミニ」を開発していた。米空軍はジェミニにも早い段階から秋波を送っており、まだNASAで初飛行すらしていない1962年に、すでに軍用ジェミニとも言うべき、「ブルー・ジェミニ」という計画が立ち上げている。

人が乗って宇宙に行って帰ってこられるだけの単なるカプセルだったマーキュリーとは違い、ジェミニは軌道上で長期間滞在でき、また軌道を変えたり、機体を自由自在に動かしたりできる、本格的な宇宙船として最低限の能力をもっていた。NASAにとってジェミニはアポロへの通過点に過ぎなかったかもしれないが、米空軍にとっては宇宙の軍事利用の嚆矢として、まさにうってつけな宇宙船だったのである。しかし、ブルー・ジェミニもまたX-20同様に1963年に中止され、X-20とブルー・ジェミニの仕切りなおしとして始まったのが、MOLだったのである。

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