「空港民営化元年」で変わる空港経営 - 福岡・高松・新千歳が抱える課題
空港の発展性という点では潜在能力に乏しいと思われるが、ここは視点を広げて中四国広域観光圏をフルに活用することも手だろう。次に民営化が見込まれる広島空港とともに、インバウンド需要の強力な受け皿としても瀬戸内地域の空港連合を構築すれば、大きなポテンシャルがある。応札者の事業構想には、十分な工夫とソリューション提案力が求められるだろう。
○新千歳は"同床異夢"状態
残るは新千歳空港だ。現在言われているのは、「道内の国管理空港をひとまとめにした一括経営権売却」である。だがこれには紆余曲折が予想される。そもそも、滑走路増設予算と引き換えに経営権売却(民営化)を飲んだ福岡と違い、新千歳には経営権を売却し民間他社に移管するインセンティブがない。
現在の運営会社である北海道空港会社は、土産物売上は全国ナンバーワンという旺盛な商業需要を背景に黒字経営を続けている。
「道、国交省の関与を受けずにもっと自由に空港経営をしたい」という意欲はあっても、それを他者に売り渡そうという気はないだろう。その意味では国交省とは"同床異夢"の状態にあり、福岡のように「三セクは応札に参加できない」となれば、空港会社は国の新千歳空港民営化方針に抵抗することも予測される。