脳の視覚野は触覚によっても変化する - 生理研がサルの研究で明らかに

生理学研究所(生理研)は3月18日、新しいものを「見て触れる」経験をすることで、視覚の情報処理を司る脳部位「視覚野」が変化することを、サルを用いた研究によって明らかにしたと発表した。
同成果は、同研究所 感覚認知情報研究部門 郷田直一助教、小松英彦教授らの研究グループによるもので、3月18日付けの米科学誌「Current Biology」オンライン版に掲載された。
視覚野は脳の後頭葉にあり、入力された視覚情報を分析し認知・判断している。その機能はこれまで実際に体験してきた視覚の経験によって変化するが、触覚や聴覚などといったほかの感覚の経験の影響は受けないとこれまで考えられていた。
同研究グループは今回、セラミックやガラス、布といったさまざまな素材で作られた棒状の物体を実際に見せ、触れさせるという課題をサルに遂行させ、素材の見た目と手触りを十分に経験させた。これらの素材はサルにとってはもともと馴染みがないものだが、自身の経験としてすでに知っているものと知らなかったもの、それぞれを実際に「見て触れる」経験をさせる前と後で、サルが各素材の写真を見ているときの脳活動がどう変化するか、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)