理研、動物同士の争いで"逃走か、闘争か"を決めている神経回路を発見
理化学研究所(理研)は4月1日、動物が争う際、いつ降参するかを決めるのに重要な役割を果たす脳内の神経回路を発見したと発表した。
同成果は、理研 脳科学総合研究センター発生遺伝子制御研究チーム 岡本仁チームリーダーらの研究チームによるもので、4月1日付けの米科学誌「Science」に掲載される。
動物の多くは、食物や縄張り、より良い生殖パートナーなどを求めて、同種同士でも争うことがあるが、通常このような争いは、相手が死ぬまで続けられるのではなく、2匹のうちのどちらかが降参すれば終わる。たとえば、オスのゼブラフィッシュを2匹同じ水槽に入れると、威嚇し合った後、円を描くように泳ぎ、互いに噛みついて攻撃を繰り返す。通常、30分以内で勝ち負けが決まり、勝った魚は自由に泳ぎまわるが、負けた魚は尾を下げ、水槽の底の方であまり動かなくなってしまう。こういった同種同士での争いで優劣を決める際に働く脳内メカニズムは、これまでほとんど明らかになっていなかった。
脳には、闘争や逃走、すくみ反応などの、動物のさまざまな防御行動に関わるとされる「中脳水道周囲灰白質(PAG)」という領域があるが、同研究グループは、PAGに情報を伝え、その働きを制御する可能性のある「手綱核—脚間核神経回路」