乗り物酔い止め薬「メクロジン」に骨を伸ばす作用 - 名大が発見
こうした状況に対し、近年の研究では、FGFR3シグナルを阻害する複数の低分子化合物を同定することに成功したが、これらの化合物の毒物学的プロファイルは今のところほとんど不明であるため、ヒト投与時の毒性が懸念されることとなっている。また、「C型ナトリウム利尿ペプチド(C-Type natriuretic peptide:CNP)」やCNPアナログがモデル動物に対して有効性が示されているものの、ヒトへの投与方法は未だに確立されていない。
これらの課題に対し研究グループは今回、既存薬の新たな効能探索による適用拡大を目指し、既存薬の網羅的なスクリーニングを実施。その結果、メクロジンの同定に至ったという。実際に、軟骨無形成症の複数の細胞モデルを用いた実験において、メクロジンはCNPと同等にFGFR3の活性を抑制できることが確認されたほか、胎生期のマウスの脛骨を用いたモデルにおいても、骨伸張抑制効果を阻害し、骨伸張能を維持することが確認されたという。これらの成果を受けて研究グループでは、健常なヒトの骨伸張にもFGFR3の関与示されていることから、メクロジンは軟骨無形成症だけでなく、低身長を呈する各種疾患に対して有効となる可能性があるとコメントしている。