産総研、eDIPS法による単層カーボンナノチューブの工業生産プラントを開発
その結果、SWCNTの製造スピードを100倍向上させた。また、産総研の実験室規模の装置によって合成したものと同程度の高純度SWCNTが高効率で生産できることも確認した。これは、eDIPS法に名城ナノカーボン独自の工程を加えることによって実現したものであるという。
具体的には、ラマン分光法による品質評価の基準であるG/D比が、市販品が10~20程度なのに対し、今回のSWCNTでは100以上だった。これは不純物カーボンや欠陥が少なく、結晶性が高いことを示している。また、透過型電子顕微鏡による観察からも不純物が少ないことが確認できた。
さらに、乾燥空気中で加熱し、500~600℃で燃焼させた。燃え残った不純物の触媒などの残渣は1%未満であり、純度99%以上を実現した。
この他、ラマン分光法によりRBMを測定したところ、その振動数から直径2nm程度(RBM:110~120nm)のSWCNTであることが確認できた。
今後も、両者は引き続き共同研究を進め、量産化技術のさらなる向上と効率化を目指しつつ、用途開発や周辺技術開発を希望する企業や研究機関に高純度なSWCNTを供給することにより、CNTを利用した製品開発に寄与していく。