鉄道トリビア (142) 300系「のぞみ」が名古屋・京都を飛ばした理由
国はアメリカの航空規制緩和を受けて、まず国際線、次に国内線の規制緩和に着手。
全日空に国際線就航を認める一方、新しい航空会社の新規参入も認める方針を決めた。
競争を促すために運賃の価格競争を認めた結果、東京~大阪間の航空運賃が下がった。
もちろん飛行機と新幹線では座席数に圧倒的な違いがあり、飛行機が安くなったところで新幹線の客をすべて奪われるわけではない。
しかしビジネスにおいては、5~10%程度の乗客減少も大きなダメージとなる。
JR東海はこの勝負に受けて立つ必要があった。
そこで立案された計画が、「ひかり」より速い「スーパーひかり」こと「のぞみ」の運行だ。
300系は「のぞみ」として、飛行機と勝負する使命を背負って走り始めた。
300系が実現した時速270kmは、車両の性能だけでは実現しなかった。
高速で安定した走行を実現するため、線路のカーブの傾きなどが改良された。
300系を走らせるために、東海道新幹線は路線ごとリフォームされたわけだ。300系は2階建て新幹線100系や、奇抜な先頭車形状の700系に比べると、デザイン的には印象が薄いという声もある。
だが、東海道新幹線の歴史のなかで、300系がもたらした影響はとてつもなく大きい。