鉄道トリビア (144) 十和田観光電鉄や長野電鉄にも…地方私鉄に「転職」しやすい電車の特徴
ただし、日立電鉄(現在は廃止)や銚子電鉄などの事例がある。
鋼鉄製の電車よりもステンレス車のほうが丈夫で長持ち。
ステンレス車といえば東急電鉄が先駆者で、早くから自社で積極的に導入した。
だから引退する車両もステンレス車が多くなった。
保守費用が少なく長持ちするとなれば、経営の厳しい地方鉄道にはありがたい存在。
長野電鉄や伊豆急行、秩父鉄道では、東急のステンレス製20m車も導入されている。
東急電鉄は大手私鉄として大量に車両を保有し、サービスアップのために新車の導入も多い。
新車がどんどん登場すれば、当然ながら引退する車両も多くなる。
東急電鉄が主要路線に20m車を導入し始めると、ステンレスの18m車は目蒲線や池上線に移籍した。
とはいえ、これらの路線は短いから、すべてを引き受けられない。
そういう電車たちが地方鉄道に引き取られていった。
これらの理由のほかにも、西武鉄道から系列会社の伊豆箱根鉄道や近江鉄道へ譲渡されるパターンや、電車の改造を得意とする京王電鉄の子会社が、線路幅の違う会社にも元京王線5000系を提供するパターンもある。
十和田観光電鉄の場合はとくに東急からの譲渡車が多く、本誌連載「昭和の残像 鉄道懐古写真」