2012年3月9日 13:46
奥様はコマガール (35) 悩める薄毛男子に訪れた奇跡(1)
「ほう、つまりプロ仕様ということですか? 」「そういうことです。
だから、ちょっと高いんですよね。
1本6,000円はします」「わっ、高いですね」「だけど、売れてるんですよねー。
美容院にしか流通してないから、そもそも数が少なくて、うちも一度に5本しか入荷できないんですけど、すぐに売り切れちゃうんです」。
このへんは市場のおもしろいところだ。
未曾有の不況によるデフレが目立つ昨今であるが、品質が良ければ少々値段は高くても売れるものだ。
逆に考えれば、不況で無駄遣いを抑えたいからこそ、「安物買いの銭失い」にはなりたくないという心理も働くのだろう。
「メーカーもよっぽど商品に自信があるんでしょうね。
じゃないと、こんな不景気に1本6,000円なんて値段をつけませんよ」。
男性美容師は悪戯な笑顔でそう言うと、一転して表情を硬くした。
「まあ、別に無理に勧めているわけじゃないですけどね。あくまで、ひとつの情報提供なんで、山田さんの参考になればいいなって思っただけです」「はあ……。
あ、ありがとうございます」「ちなみに、今うちには最後の1本が残ってますけどねー」「へえ」。