経済成長などに伴なう全体的な所得水準の向上により、新興国では購買力や消費意欲が高まっており、その消費の拡大が、内需を活性化させ、国の成長に寄与しているとみられます。
中でも、消費意欲が特に旺盛とされている中間層の拡大は、経済をさらに活性化させると考えられることから、中間層の拡大は新興国経済の今後の発展における重要な要素になっているといえそうです。
そうした中、経済産業省が3月中旬に公表した調査結果によると、アジアなどの新興15ヵ国で今後20年間に消費の牽引役となる「中間層」は3倍以上増加する見通しです。
また、これらの国の中間層の中でも、特に消費力の高い層とみられる「上位中間層」(世帯年収1万5,000米ドル以上、3万5,000米ドル未満)は、2010年の約2.5億人から2020年には約7.7億人に増えると試算されています。
そのうえで、経済産業省は、これらの新興国で中間層が急激に増える時期は日本でいえば1960~70年代に相当すると指摘し、洗濯機や冷蔵庫、テレビなど耐久消費財が普及するほか衣料や教育医療への支出も増えるとしています。
こうしたことは新興国の中間層の拡大が、新興国の成長のみならず、様々な面で大きな意味を持つことを示しているとみられます。