トルコリラは、欧州債務問題や世界景気に対する懸念などを背景とした投資家のリスク回避の動きに加え、経常赤字の改善を狙ったトルコ中央銀行(以下、中銀)のリラ安容認姿勢などが嫌気され、昨年以降、下落基調を強めていました。
しかしながら、今年に入ると、欧州債務問題の落ち着きや米国などでの好調な経済指標の発表など、世界的なマクロ環境の改善を受け、リラは上昇に転じました。
さらに、リラ安に伴なう輸入物価の上昇や国内景気の底堅さを受けたインフレ圧力の高まりを背景に、中銀が金融引き締め強化の姿勢を示したこともリラを下支えする要因となったことから、今後のリラの動きを予想する上では、同国の経済状況に加え、中銀の政策や発言が重要な要素になると考えられます。
今月21日、中銀総裁が、足元で前年比+10%程度に高止まっているインフレ率を、「中期的なターゲットである5%に抑制するまで金融引き締め策を維持する」と発言したほか、翌日22日には、中銀が、2012年末時点のインフレ見通しを若干上方修正しました。
こうしたなか、27日に開催された金融政策決定会合では、政策金利を据え置いたものの、今後の方針について、「影響を慎重に観察しつつ、追加金融引き締めを行なう可能性がある」