)中国は、今年の目標である前年比+7.5%の経済成長率を達成し、同国の景気を軟着陸させるために、あらゆる政策を徐々に緩めているようです。
ただし、住宅向け不動産分野は例外で、当局は、中間所得層の賃金の急速な上昇などを背景に、住宅取得時に国民が支払うことのできる額が上昇することを許容する一方で、住宅価格の上昇を引き続き抑えようとしています。
中国共産党への国民の支持を維持するために、足元の中国の経済政策には政治的配慮が大きく働いている模様ですが、そうした状況はおそらく、今後2~3年についても同様と思われます。
同国の指導部は、所得格差の縮小や平均的労働者の生活条件の改善に努める必要があると考えているとみられます。
なぜなら、中国指導部は、贈賄や低賃金、大きな所得格差などに対する国民の不満を放置すれば、いつか手の施しようがなくなるということを「アラブの春(2010年から11年にかけて活発化した、中東・北アフリカ諸国での民主化要求運動の総称)」から学んだと考えられるからです。中国ではこれまで、企業寄りの地方政府やそのトップが、中央政府からのさまざまな命令を無視するケースが多く見られました。