ブラジルの高成長と国際的な信用力の向上などを背景に、海外の投資資金の流入が加速したことなどを受け、ブラジルレアル(以下、レアル)は2003年以降、上昇基調を強める動きとなりました。
レアルの高騰は、国内輸出産業の競争力低下をもたらすことから、金融危機以降に景気が持ち直しをみせるなか、ブラジル当局は強い懸念を示し、レアルの売り介入や資本規制の強化(海外からの投資に関する課税の強化)によるレアル高抑制策を打ち出してきました。
2008年には、世界的な金融危機への対応の一環として、海外からの投資の一部の為替取引に対する金融取引税を引き下げた局面もありましたが、2009年以降は、世界の投資家の不安心理が落ち着きを取り戻すに連れて、同国への資金流入が再び活発化したことで、レアル高につながったことを受け、繰り返し、資本規制の強化を行ないました。
2011年夏以降、先進国景気の鈍化が強まっていることから、ブラジル経済に与える影響を懸念し、当局はいち早く金融政策をインフレ抑制から景気重視へと転換しました。
また、2011年12月には、減税や政府系金融機関による低利融資の拡大といった景気刺激策なども実施し、景気のテコ入れに軸を移し始めました。