別府八湯永世名誉名人に聞く、地元民がわが家のように通う名湯・秘湯
別府八湯名人とは、別府八湯の中から選ばれた88湯を制覇した者に与えられる称号。
土谷さんはなんと、名人位を34回も取り、現在は35巡り目の8段というつわものである。
その豊富な知識と温泉愛を持って、別府温泉の魅力を発信する温泉の伝道師なのだ。
「市内には100カ所とも200カ所ともいわれるほど、たくさんの共同湯があり、郵便ポストの数より多いとさえいう人もいます。
特に昭和の下町風情が残る浜脇、別府、亀川などに共同湯、組合湯が点在しています。
しかし、その多くが公民館の中にあったり、ひなびた民家のような建物だったりします。
路地裏や生活道路にひっそり佇(たたず)んでいるので、車で移動しながらでは見つけることは難しいでしょう。
共同湯散策は徒歩か自転車がおすすめです」。
なるほど、住宅地の中に紛れている上、目立たない外観が多いから気づかなかったのか。
「自宅に風呂がない家も多く、共同湯は暮らしに欠かせない存在です。特に別府駅周辺の路地裏では、かなりラフな格好で風呂に通う人を見かけることも珍しくありません。
自宅から共同湯まで、わが家の廊下のような感覚なのでしょうね」。