資源開発において期待される収益は、市場価格に連動する一方で、開発コストは予定している資源の形態や埋蔵場所によって大きく変化することから、資源開発企業では、一般の企業以上に期待される収入が投入するコストを上回ることが重要となります。
原油を例にとった場合、上質の原油と比べると、重量質が多い原油、液体ではなく砂に混じった原油などは精製コストがかさみます。
また、埋蔵場所についても、陸地の浅い場所で採掘できる原油に比べて、深い場所にある原油や頁岩など固い岩の層(シェール層)にある原油、海底にある原油などは、採掘コストがかさみます。
こうした収益事情から、これまでコストがかさみ開発に適さないと判断されていた案件が、資源価格の上昇やコスト低減などによって、収益が期待できる案件に変化することがあります。
原油の開発場所が、コストが低いアラビア半島などの砂漠から、内陸の深い油田や海の底にまで拡大したことなどもこうした事情を裏付けていると言えます。
今後も世界のエネルギー需要は安定して伸びることが予想されており、供給を担う資源開発産業は拡大が期待されます。
なお、米国企業が発表している掘削リグ数調査によれば、2008年の金融危機以降に起きた原油価格の低迷により、採算への懸念から減少していた掘削リグの数は、2009年を底に回復に転じており、調査を含む開発案件が増加基調を取り戻しつつあります。