誰のためでもない、“わたし”のために読む絵本【TheBookNook #39】
文:八木 奈々
写真:後藤 祐樹
絵本は子供のためのもの? いいえ、そんなことありません。
心細いとき、
もやもやが晴れないとき、
アイデアのヒントが欲しいとき、
誰かに叱ってほしいとき、
絵本はいつでも私たちの味方です。
ひらがなが多く、読みづらさもあるかもしれません。
でも、思い出してみてください。子供の頃の私たちの頭の中は大人になった今よりもずっとアイデアにあふれ、好奇心の赴くままにページをめくり、温かい物語に包まれて眠りについていたはず……。
もう一度、なんの疑いも持たずに絵本の世界に身を委ねて、大人になった私たちだからこそ感じることができるメッセージを受け取ってみませんか。
今回は、絵本作家さんの個展やトークショーに足を運ぶほど絵本好きな私が密かにお守りにしている3作品をご紹介させていただきます。
1. スーザン・バーレイ/作.絵 小川仁央/訳『わすれられないおくりもの』
このタイトルとこの装丁。見覚えのある方も多いのではないでしょうか。
賢くて、頼りになるアナグマが、ひとり長いトンネルの向こうに旅立つところから始まるこの物語。悲しみに暮れる森の動物たちはそれを紛らわすように、冬の間アナグマの思い出をそれぞれ語り合います。