江戸箒の魅力! 静かでいつでも掃除ができる「江戸の日用品」 忙しい現代人にこそおすすめ
粋で洒脱、でも使い勝手にすぐれた江戸の日用品。京や大坂で生まれた道具は、江戸という町で暮らす人々の好みや仕様にあわせた道具へと作り変えられてきました。江戸の道具と暮らしとのかかわりをまとめた拙書『江戸な日用品』から、今の暮らしに取り入れたい東京の逸品“江戸な日用品”をご案内していきます。
『江戸な日用品』(平凡社)/撮影・喜多剛士
江戸市民が愛した「江戸箒」(えどほうき)とは?年末モードも高まってきましたが、年末といえば大掃除。江戸の町では、寛永17(1640)年以来ずっと江戸城の煤払いにあわせて、12月13日に一斉に大掃除が行われていたそうです。
大店(おおだな)と呼ばれるような商家では、高張提灯をたて店員総出で大掃除にとりかかっていたようです。その様子は、江戸の祭礼や行事をまとめた『東都歳事記』にも描かれています。夕方には掃除を終えてみんなで湯屋に出掛け、夜はご祝儀酒で盛り上がる。
慌ただしい年末の楽しい商習慣だったと思います。それは年末の最終出社日に行う大掃除プラス納会のようなものですね。
『江戸な日用品』(平凡社)/撮影・喜多剛士
さて江戸の大掃除に活躍した道具といえば、江戸の町で作られていた
江戸箒だったはず。この江戸箒を今に伝えるお店が、東京は京橋にある
白木屋傳兵衛です。天保元(1830)年創業の店には、昔と変わらない材料や作り方で箒職人が作りあげた江戸箒が並んでいます。
江戸箒の特長を聞いてみたところ
「シンプルな装飾、軽くてコシがあること、小ぶり」という3点を挙げてくれました。江戸市民が装飾性よりも実用性を好んだこと、また庶民たちが暮らす長屋は狭かったので小ぶりな仕様になったと言われています。