トリレンマ世代のお金の準備――子どもが大学を卒業するまでの必要資金、教育資金だけ見ていませんか?
文部科学省の調べでは、幼稚園から大学まで19年間の教育にかかる子ども1人の費用は公立で約300万円、私立で
600万円超(1)。これだけでも結構大変ですが、晩婚化による出産年齢の上昇で、60歳の時に、子どもの教育費以外にまとまったお金が必要となる「自分の退職後の資金」「親の介護」の3つのライフイベントがいっぺんにくる可能性もあります。
教育、介護、退職、これら3つの課題に一度に直面し、すべてを解決しきれない現在の30~40代は「トリレンマ世代」と呼ばれています。今回はこのトリレンマ世代が蓄えておくべき自己資金についてお話しします。
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自分の退職後資金はいくら必要?
「退職後の資金」はなかなか単純ではありません。今のような超高齢化社会、女性の平均寿命の85歳まで毎月10万円ずつ取り崩していくとすると、60歳の時点で3,000万円必要になります。取り崩す金額が増えれば、必要な資金はさらに増えます。
でも、たとえば60歳になった後、75歳までは少し運用をして増やす努力をしながら取り崩す、と考えてみます。
「少し」というのを年率3%で運用した、とすると、60歳以降85歳までの25年間、毎月10万円引き出したとしても、60歳の時には約2,570万円準備できていればいいという計算になります。
このように、退職後に備えた準備はひとりひとり変わってきます。ここでは後者の場合、すなわち運用で増やしながら切り崩していく場合の退職後必要資金を
2,500万円(2)としてみます。
親の介護費用はいくら必要?
介護費用も、もちろん個人差はありますが、生活文化センターの平成24年の調査によると、約
800万円(初期費用91万円+(7.7万円×12か月)×7.5年)(3)となっています。
晩婚化、晩産化でライフイベントのタイミングに変化が
これら3つの資金
(1)(2)(3)を単純合計すると3,900万円になります。
「こんなに必要とは言っても、自分の親もちゃんとやってこられたのだから、そんなに心配することないのでは?」と思っていませんか?
そこが盲点なのです。皆さんの親の世代は、年金もある程度潤沢にもらえた世代です。さらに、お金や生活に負担のかかる3つのライフイベントのタイミングもずれていました。