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甘える・甘えられるというのは、親しい間柄ならではの関係です。妻や夫のタイプにもよりますが、夫婦関係においては、どちらか一方が甘える側、甘えられる側に偏る傾向があるといえるでしょう。
そんな中「妻に甘えるのが大好き!」という夫に対して、それを「ちょっと、うっとうしい…」と感じてしまう妻がいるのも確か。特に、子どもが生まれると、夫も子どもも甘えてくるので「私は誰に甘えればいいの?」とウンザリするママも多いでしょう。
夫は、なぜ妻に甘えるのか? 今回は、
甘える夫、それをうっとうしいと感じてしまう妻の心理状態、その対処について考えてみましょう。
■甘えてくる夫、どうしてうっとうしいと感じてしまうの?
恋人同士だったころは甘え、甘えられることに抵抗がなかった人も、結婚して子どもが生まれ、母親・父親という関係になったことで、心境の変化を感じることがあるでしょう。
子どもの親となったことで、男女関係特有のスキンシップに関心がなくなる人も少なくありません。
さらに、自分に甘えてくる存在として、圧倒的にかわいいわが子がいますよね。
父親である夫は子どもとはまったく異なる存在なのに、
子どもと同じように甘えてくることに違和感を感じてしまうのでしょう。
■甘えてくる夫を「うっとうしい、気持ち悪い…」と感じるとき
甘えてくる夫を妻が「うっとうしい、気持ち悪い」と感じるのは、どのようなシチュエーションなのでしょうか。
例えば、妻が子どもの世話で忙しくしているとき。「おなか、空いたな~。〇〇(子ども)が食べているなら俺もごはん食べたいな~」など、こちらの状況を考えずに自分の要求だけを押し付けてくるのは、イライラする甘え方ですよね。
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さらに、「今忙しいから、すぐに準備できない」と妻がいうと、「え~、じゃあもういいよ」とすねてしまうことも。
あるいは、飲み会から酔っぱらって帰宅すると、必ず抱きついてくる。妻の名前を無意味に叫んで「愛してるよ~」などと口走り、しつこく絡んでくる。
これも、ウンザリする甘え方でしょう。それが、子どもがようやく寝付いたばかりのタイミングだとしたら最悪です。
なかには、甘えたくなると夫が幼児言葉を使い始め、さらに気持ち悪さ倍増…というケースも。これらの行動はすべて妻への甘えです。毎度毎度、幼児言葉で甘えられると、妻がげんなりしてしまうのも無理はないかもしれません。
■甘える夫、妻をママと呼び始めたのがきっかけ?
なぜ、こんなにも「甘えたがり」な夫が存在するのでしょうか? 夫が妻に甘えるのは、実は心理学的な理由がいくつかあります。
その理由のひとつが「小さいころ、母親に十分に甘えられなかった」というものです。子どものころは誰しも大好きなお母さん、お父さんに甘えたいと思うものですよね。
でも「男の子なんだから甘えるな!」「しっかりしなさい」と厳しくしつけられたり、、甘える機会が少なかった幼少時代を過ごすと、「本当はもっと甘えたかったのに、甘えられなかった」という思いがいつまでも心に残ってしまうのです。
その原体験が、子どもをもち、
妻を「ママ」と呼ぶようになったことをきっかけに蘇ってしまうことがあり、「今度こそは甘えたい!」という欲求がわきあがってくるのです。
また、妻に甘える心理状態として「強いストレスに適応している」というケースも考えられます。
心理学では「創造的退行」という言葉がありますが、これは実年齢より幼い言動をすることを指します。先ほどの例でいえば、わが子が食事しているのを見て「僕もごはんが食べたいな」という、子どものような言動のことです。
成熟した大人の状態から子どものころに戻る=退行することで、大人社会で感じている
さまざまな強いストレスから心を守っている場合ですね。
「子どものような言動をする」ほか、カラオケにいって歌ったり、お祭りで騒いだりするのも、同じ創造的退行の心理状態にあるといえるでしょう。なんだかわくわくして、心が騒ぐような状態ですね。
創造的退行は、心の防御機能が正常に機能している、ともいえるのです。