【パオロ・ピニンファリーナ×増田宗昭1/2】デザインは“エレガンス”(パオロ)
以来、自分で稼ぐようになったらディーノのオーナーになるのが夢でした。
パオロ:ディーノは私の父、セルジオ・ピニンファリーナが、初めて自身の責任でデザインした車です。子供の頃、父親にそのディーノに乗せてもらってドライブに行くのが楽しみの一つで、とても思い入れがあります。今年、フェラーリが発表した「セルジオ」は、そのディーノと父に対するオマージュでもあります。
――ディーノは、発表当時にフェラーリがF1で採用していたエンジンを車の中央に据えるシステム(ミッドシップ)が最大の特徴で、セルジオ・ピニンファリーナは苦労の末、フェラーリを説得したという。今では、ミッドシップはフェラーリのカーデザインにおいて当然のつくりとなっている。
パオロ:ピニンファリーナのデザインの特徴は、大きく二つあります。一つは、機能とデザインの整合性・一貫性があること。
もう一つは、びっくりするような革新性を持っていることです。エッセンシャル(本質的)な点を押さえつつ、エレガンスであることが大事だと考えています。それは車以外のピニンファリーナのプロダクトデザインにも込められていることですね。
増田:エレガンスさというのは、どういったものだと考えていますか?
パオロ:余計なものを削り、シンプルかつ機能的でありながら、そこに美しさを実現するのは、とても大変ですが、そこがピニンファリーナにとって他社と競える点だと考えます。