テーラー鈴木健次郎2/3--作った服で評価されるパリ【INTERVIEW】
が出ていましたね。
ファッションの中心にいる男性は、実はプレタポルテを買わない人が多いと思います。彼もその1人で、自分の顧客の中では特別な存在です。普通、1着が出来上がって気に入ったらまた頼む、というケースがほとんどですが、彼は違いました。3着いっぺんに頼んで様子を見る方法をとったのです。
1着目は私が好きなように作っていいと言われました。2着目はアメリカの50年代風にして欲しいと頼まれ、3着目では、彼が一番好きなブリティッシュスタイルにするように言われ、30分ほど話し合って製作して納めました。4着目のオーダーの時に、3着目の感想を聞いたら、
「イタリアやイギリスのテーラーではなく、あなたに注文し続けたい。
たまたま気に入ったテーラーが日本人だっただけ。自分よりも若いし、まだまだ作ってもらえるからね」と言ってくれました。
こんな風に、フランス人はオーダーの文化に慣れています。時間を掛け、待つという忍耐があるのです。1・2着目に細かい注文をしなかったのは、作る人に対しておこがましいと考え、うるさいことを言わないのがルールだと思っている部分があるようです。人間関係を築きながら、自分の趣味を分かってもらいながら作ってもらうのが良いと思っているんでしょうね。