ザハ・ハディド日本初大個展に潜入。アンビルトから新国立競技場まで網羅
中でも注目すべきは、札幌のレストラン「ムーンスーン」のインテリア設計のため造作したソファ。ザハにとってキャリア初の実現プロジェクトということもあって、本人の思い入れも強く、同展のために再製作されたものだ。緩いカーブを描くソファには可動式テーブルが備えられ、人の動きに合わせてフレキシブルに対応できるデザインとなっている。ゾーン「2」では、90年代から2000年代に掛けてのプロジェクトを展示。3D解析や施工技術の進歩により実現可能となったザハの代表作の模型や映像などから、その思考やセンスが見えてくる。彼女らしい躍動感あるラインやエッジの効いたバランスは一目で印象に残る。デザインプロダクトや模型、映像作品などが並ぶゾーン「3」では、スケールにとらわれない多様性に着目したい。特に、ザハの意向で展示された模型「フィールド・オブ・ジュエルス」。
彼女は建築が立つか立たないかにかかわらず綿密なリサーチを行い、“動き”を取り込むことで新しい流れを生む形を導き出す。一方で、その独特な視点と感覚によるデザインは、モダンでアーティスティックなデザインで知られる、「ダナ・キャラン(Donna Karan)」「ユナイテッドヌード(United Nude)」