サステナビリティは商品に内在しなければならない--マリ=クレール・ダヴォ3/3【エシカル特集】
グッチは2020年までに有害物質の使用を完全に廃止する目標を掲げているのだ。
開発にはそれなりの初期投資が必要となる。その分が製品の価格に上乗せされているのではと思われがちだが、グッチは価格を据え置いたという。なぜなら、長期的には生産ラインに乗り、増産していくうちに初期投資の費用は少しずつ軽減され、しかもエネルギー消費量が減ることで直接的には経費削減につながり、初期投資費用の軽減を加速させるという理由に基づいている。
差し出されたグッチのバッグは、これまでのバッグの手触りとは違う感触だった。この重金属フリーのなめし工程がすべてのラグジュアリーなバッグに採用されていくなら、この手触りがラグジュアリーのスタンダードになっていくのかもしれない。
「これからの消費者は環境や社会的な問題に関心を高めています。例えばパイソン製品を購入するお客様は、クオリティーの高い素材であることと同時に、絶滅危惧種や生態系を破壊しないパイソンであることを望んでいるのです。
こうした課題は、長いスパンで重要性を増していくはずです。企業も長期的な存続を目指していますから、こうしたサステイナブル・ディベロップメントの取り組みを通じて、将来のビジネスに備えているのです」